チッソは一体何様のつもりなのだろうか?

強い憤りを感じている朕だ。

チッソの特例減税を検討 水俣病救済で与党PT
2007年11月23日22時10分
水俣病未認定患者の救済問題で、与党のプロジェクトチーム(PT)が、原因企業のチッソに対し、法人税などの負担軽減を検討していることが23日、明らかになった。救済策の柱である一時金の負担を拒否するチッソを説得するための環境を整える狙いだが、特定企業への特例措置は財務省などの反発が強いとみられ、実現の見通しは不透明だ。
自民党環境部会が、「公害健康被害の補償の確保および、これに伴い発生した債務の償還の円滑化を図るための特例措置」として、08年度税制改正大綱に反映するよう党税制調査会に近く説明する。具体的には、過去に生じた欠損金を7年間にわたり所得金額から控除できる「欠損金の繰り越し控除制度」の期間延長などが想定される。
チッソは長年、水俣病患者への補償金支払いなどで多額の欠損を出してきたが、05年3月期決算では、液晶関連材料が好調で34年ぶりに単体の当期損益が黒字になった。07年3月期決算も経常利益が3期連続で過去最高で、法人税などの負担が生じている。
…後略*1

この読者の大部分は、水俣病*2を知っていることと思う。大勢の人が苦しんだ、世界に名だたる公害病であるが、それを引き起こしたチッソ株式会社が賠償責任を負うのは至極当然のことである。その義務において、彼らが賠償に関することを拒否する権利は微塵も無かろう。ところが、チッソ側は信じられないことを言い出したのである。それは当月19日のことであった。

水俣病未認定患者の救済問題で、原因企業のチッソの後藤舜吉会長は19日、東京都内で記者会見し、与党のプロジェクトチーム(PT)が示した一時金給付など新たな救済策について「株主などに支払い根拠を説明できない」と述べ、現状では受け入れられないとする姿勢を正式に表明した。PT側は説得を続ける構えで、なお折衝が続きそうだ。…略*3

チッソは株主のせいにしてその賠償責任を全うしようとしていないのだ。おおよそまともな株主であれば、こういうことを言ったときに世間から浴びせられる冷ややかな目を警戒して、むしろ一生懸命に責任を全うするよう求めるはずである。そのほうが「肉を切らせて骨を断つ」的な効果が見込めることが多い。また、そう思う株主も多かろう。
近年はそれほど大きな批判を巻き起こしていなかったチッソ株式会社であるが、自ら墓穴を掘り、株主にも見捨てられ、今まで以上の窮地に追い込まれよう。これほど先見性が無く、無責任な経営者が居座る会社にいつまで株主がいてくれるのかは興味深いが、同時に、こんな会社に国家として何らかの配慮をする価値があるのか? という疑問も沸いてくる次第である。

*1:asahi.com http://www.asahi.com/national/update/1123/TKY200711230196.html?ref=rss

*2:水俣病(みなまたびょう)は、公害病の一つでチッソ株式会社が海に流した廃液により引き起こされた。世界最大の水銀公害病と言われる。英語ではMinamata disease。1956年に熊本県水俣市で発生が確認されたためこの名がある。この後、新潟県昭和電工が引き起こした同様の公害病の病名も水俣病であるほど世界的に有名である。これを区別するために前者を熊本水俣病、後者を第二水俣病または新潟水俣病(にいがたみなまたびょう)と呼称する。ただし、単に「水俣病」と言われる場合には前者を指す。引用元はウィキペディア、「水俣病」の項目http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E4%BF%A3%E7%97%85

*3:asahi.com http://www.asahi.com/health/news/TKY200711190319.html 11月23日現在